住まい・近隣

マンション管理費の滞納|時効5年と立場別の初動【2026年改正対応】

マンション管理費の滞納に悩む理事・払えない本人・中古購入者向けに、立場別の初動と相談先を整理。時効5年の最高裁判決、少額訴訟60万円以下、2026年施行の改正区分所有法と新手数料を出典番号付きで解説します。

マンション管理費の滞納|時効5年と立場別の初動【2026年改正対応】
まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
  • 回収する管理組合:書面で督促 → 内容証明 → 法的手続き(国交省フローチャート[4])
  • 払えない本人:督促を放っておかず、早めに分割払いを相談する
  • 滞納のある部屋を買う人・相続した人:まず滞納額を確認する(買った人にも請求できる。区分所有法8条[12])

結論:マンション管理費の滞納、まず何をすればいい?

①理事・役員(回収する側)

滞納月数の目安居場所が分かる居場所が分からない国内に住所がない
1〜6か月書面請求・催告書・訪問・内容証明(配達証明付)を順次[4]専門家と所在を調査(提案)国内管理人がいれば、その人へ連絡[5]
6か月以上法的措置へ(支払督促・少額訴訟・通常訴訟など)[4]支払督促は使えない[13]。所有者不明専有部分管理制度を検討[5]通常訴訟などを専門家と検討(提案)
横スクロールできます

②払えない区分所有者

  1. 督促が来たら、すぐ管理会社か理事長に連絡して分割払いを相談する(提案)
  2. 他の借金もあるなら、法テラスや弁護士会の窓口に相談する[18][19]
  3. 払い続けるのが難しければ、売却も含めて専門家と検討する(提案)

③購入予定の人・相続した人

  1. 売主・仲介会社・管理会社の資料で、その部屋の滞納額を確認する(提案)
  2. 管理組合は買った人(特定承継人)にも前の持ち主の滞納分を請求できる(区分所有法8条[12])
  3. 決済時に滞納分を清算する条項を売買契約に入れるよう、仲介会社に相談する(提案)

滞納の実態:国交省データで見る

項目割合[1]
滞納がない62.1%
滞納住戸が0%超〜10%以下29.2%
滞納住戸が10%超0.5%
1984年以前完成で滞納がない(N=308)50.0%
2015年以降完成で滞納がない(N=167)72.5%
横スクロールできます

法的手段の比較:支払督促・少額訴訟・競売はどう選ぶ?

手段対象額手数料(30万/60万/120万円)[8]相手が争ったら時効への効果[11]
支払督促民訴法382条に金額の上限規定なし[13]4,200/5,700/8,200円督促異議で通常訴訟へ[7]手続き中は完成猶予、確定で更新(147条)
少額訴訟60万円以下[6]5,500/8,500円/使えない控訴不可、異議のみ[6][13]確定判決で更新(147条)
通常訴訟上限なし(140万円以下は簡裁[15])5,500/8,500/13,500円判決に控訴できる(民訴法281条[13])確定判決で更新(147条)
先取特権の実行上限なしこの記事では未確認—手続き中は完成猶予、終了で更新(148条)
横スクロールできます

少額訴訟の主な制限[6]

  • 60万円以下の金銭の支払いを求める訴えに限る
  • 同じ原告が同じ簡易裁判所で年間10回まで
  • 不服申立ては異議に限られ、控訴はできない(民事訴訟法377条・378条[13])
  • 判決言渡しから3年以内の範囲で、支払猶予や分割払いの判決がされることがある

支払督促の注意点

先取特権と59条競売請求

2026年の改正で増えた選択肢

  • 所有者不明専有部分管理制度(46条の2〜46条の7):管理人は裁判所の許可を得て部屋を売却できる。ただし売却代金は所在等不明の持ち主のために供託される[5]
  • 国内管理人制度(6条の2):国内に住所等がない持ち主が国内に管理人を置ける。権限に「管理費等の区分所有者の債務の弁済」が含まれる[5]
  • 所在等不明の持ち主を決議の母数から外す制度(38条の2):裁判所が認定した人が対象[5]

滞納額の試算:何か月で少額訴訟の上限を超える?

  • 遅延損害金:年14.6%(規約で定めた場合の仮定値。法定の率ではありません)
  • 計算:各月の未払い額×年率×経過月数(最新月も1か月と数える)÷12の合計(概算)
  • 手数料:元本を訴額とし、早見表の該当欄(10万まで/30万/60万/70万/160万)の書面・被告1名の額[8]。遅延損害金は訴額に入れない(民事訴訟法9条2項[13])
滞納月数元本合計遅延損害金(概算)少額訴訟[6]手数料(訴訟/支払督促)[8]
3か月75,000円約1,800円使える3,500円/3,200円
12か月300,000円約2.4万円使える5,500円/4,200円
24か月600,000円約9.1万円使える8,500円/5,700円
25か月625,000円約9.9万円使えない9,500円/6,200円
60か月1,500,000円約55.7万円使えない15,500円/9,200円
横スクロールできます
補足

規約に定めがなければ遅延損害金は民法の法定利率です。条文は年3%とし、3年を一期として変動する仕組みです(404条2項・3項[11])。

ケース別の対処:理事・払えない本人・相続人

①管理組合の理事・役員

②払えない区分所有者

相続した人

注意

放棄の前に部屋を売るなど相続財産を処分すると、単純承認したものとみなされます(民法921条1号[11])。動く前に専門家へ相談しましょう。

マンション管理費の滞納の時効は何年?

出来事時効への効果[11]
一部の支払い・分割払いの合意承認として更新(152条)
内容証明などで催告6か月だけ完成猶予。猶予中の再度の催告では延びない(150条)
支払督促・訴訟手続き中は完成猶予、確定で更新(147条)
確定判決など新しい時効は10年(169条)
横スクロールできます

予防・再発防止のコツ

  • 口座振替にする(提案)
  • 規約に遅延損害金・督促費用の扱いを定める:定めがなければ法定利率になる(404条[11])
  • 連絡先を定期的に更新する:国内に住所がなくなる人には国内管理人の選任をお願いする[5]
  • 資産調査への事前同意を規約に入れるか検討する:国交省フローチャートの補足は、滞納時の資産調査に区分所有者があらかじめ同意する規定を設ける方法を挙げています[4]

マンション管理費の滞納はどこに相談する?

相談先向いている相談備考(2026年10月13日確認)
マンション管理センター[17]管理組合運営・規約03-3222-1517(平日9時30分〜17時)。電話・面談(予約制)・メール
東京弁護士会[18]滞納対応・訴訟30分5,500円(税込)。原則、都内在住か都内のマンション
法テラス[19]費用に不安がある人無料相談は収入・資産の基準あり。1人世帯は手取り月収(賞与込み)182,000円以下(東京都特別区・大阪市など200,200円以下)、現金・預貯金180万円以下
認定司法書士140万円以下の簡裁事件代理できる範囲に制限あり(司法書士法3条1項6号[16]、裁判所法33条[15])
横スクロールできます

やってはいけないNG対応

  • 弁護士に確認しないまま、滞納者の名前を貼り出す・配る(この記事の注意喚起。可否は個別判断)
  • 内容証明を何度も送れば時効が延びると思い込む(民法150条2項[11])
  • 督促状や支払督促を無視する(支払督促は受け取りから2週間で、債権者が仮執行宣言を申し立てられるようになる[7])
  • 滞納額を確かめずに部屋を買う(前の持ち主の滞納分も請求されうる。区分所有法8条[12])

よくある質問

Q1. 何か月滞納したら法的措置になりますか?

Q2. 管理組合が弁護士を付けずに申し立てるとき、オンラインは必須ですか?

  1. 国交省「令和5年度マンション総合調査結果 報告書」p.19〜20(3か月以上の滞納、管理組合票N=1,589)ほか https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001750158.pdf
  2. 国交省「令和5年度マンション総合調査の結果について」(修繕積立金の月・戸あたり平均13,054円) https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001752287.pdf
  3. 国交省「マンション標準管理規約を改正します」令和7年10月17日 https://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000252.html
  4. 国交省 標準管理規約コメント別紙2(滞納対応フローチャート) https://www.mlit.go.jp/common/001089186.pdf
  5. 法務省民事局「区分所有法・被災区分所有法の改正について」(施行日令和8年4月1日) https://www.moj.go.jp/content/001460460.pdf
  6. 裁判所「少額訴訟」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_02/index.html
  7. 裁判所「支払督促」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_22/index.html
  8. 裁判所「手数料額早見表」(2026年5月21日以後) https://www.courts.go.jp/assets/tesuuryo_hayami.pdf
  9. 裁判所「改正民訴法等で変わる民事訴訟手続の概要」 https://www.courts.go.jp/saiban/minjidejitaruka/minso_gaiyou/index.html
  10. 裁判所 最判平成16年4月23日 平成14(受)248 https://www.courts.go.jp/hanrei/52360/detail2/index.html
  11. e-Gov 民法(145・147・148・150・152・166・169・404・915・921条、平成29年法律第44号附則10条) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
  12. e-Gov 区分所有法(7・8・26・59条) https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000069
  13. e-Gov 民事訴訟法(9・281・377・378・382条) https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109
  14. e-Gov 民事執行法(63・188条) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004
  15. e-Gov 裁判所法(33条) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000059
  16. e-Gov 司法書士法(3条) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000197
  17. マンション管理センター 相談窓口 https://www.mankan.or.jp/06_consult/tel.html
  18. 東京弁護士会 マンション管理相談窓口 https://www.toben.or.jp/bengoshi/center/madoguchi/apartment.html
  19. 法テラス 利用の流れ https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/goriyounonagare.html

※一般的な情報です。個別の事案は専門家に相談してください。

関連記事

債権回収