まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
- ①労務提供上の支障がある場合
- ②業務上の秘密が漏洩する場合
- ③競業により自社の利益が害される場合
- ④自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
補足
本記事は一般的な情報です。個別の判断は、総合労働相談コーナーや弁護士・社会保険労務士にご相談ください。
副業の合意書は署名前に何をすべき?
合意書で会社が確認する項目
- 副業先の事業内容
- 副業先で従事する業務内容
- 労働時間を通算する対象になるかどうか
- 副業先との労働契約の締結日・期間
- 副業先での所定労働日・所定労働時間・始業と終業の時刻
- 副業先での所定外労働の有無、見込み時間数、最大時間数
- 副業先での実労働時間などの報告の手続
- これらを確認する頻度
署名前の3ステップ
- 合意書と、就業規則の副業に関する規定を並べて読む
- 制限している条項ごとに、①〜④のどれが理由なのかを書き出す
- 分からない点はメールなど文字に残る形で質問し、署名後は控えをもらう
署名前の条項チェックリスト12項目
| 条項 | 関係する観点(本記事の整理) | 書き方の例 | 質問したいサイン |
|---|---|---|---|
| ①副業先・業務内容 | ②③の判断材料 | 名称と業務内容 | 私生活の情報まで書かせる |
| ②労働時間の上限 | ① | 管理モデルに基づく月○時間 | 業務委託にも雇用と同じ上限 |
| ③報告義務 | ①・健康確保 | 決めた頻度での就業時間の申告 | SNSや休日の予定まで報告させる |
| ④秘密保持 | ② | 営業秘密・顧客情報を使わない | 一般的な知識やスキルまで禁止 |
| ⑤競業避止 | ③ | 在職中、直接競合する事業に限る | 同業種すべて、退職後も無期限 |
| ⑥名誉・信用 | ④ | 信用を著しく損なう行為をしない | 「会社が不適切と判断した副業」を全面禁止 |
| ⑦健康確保 | ① | 体調不良時に相談し時間を見直す | 詳しい病歴を毎回提出させる |
| ⑧許可の取消 | ①〜④ | ①〜④に当たるとき、説明のうえ取消 | 会社の裁量でいつでも取消 |
| ⑨違反時の懲戒 | 就業規則 | 就業規則の定めに従う | 軽い報告漏れでも即解雇 |
| ⑩損害賠償 | 労基法16条 | 違約金の定めがない | 違約金「○万円」をあらかじめ決める |
| ⑪有効期間 | 手続きの明確化 | 1年ごとに見直す | 期間がなく、会社だけで変更できる |
| ⑫改正時の見直し | 法改正への対応 | 双方で協議して見直す | 会社が一方的に変更できる |
競業避止と秘密保持はどこまで受け入れる?
雇用型とフリーランスで合意書はどう変わる?
- 労基法が適用されない場合(フリーランス・独立・起業・共同経営・アドバイザー・コンサルタント・顧問・理事・監事など)
- 労基法は適用されるが労働時間規制が適用されない場合(農業・畜産業・養蚕業・水産業、管理監督者・機密事務取扱者、監視・断続的労働者、高度プロフェッショナル制度)
| 働き方 | 時間の通算(ガイドライン) | 管理モデル | 合意書の中心(本記事の整理) |
|---|---|---|---|
| 雇用型(アルバイトなど) | あり | 使える | 労働時間の上限、申告の方法 |
| 業務委託・フリーランス | なし | 対象外 | 秘密保持、競業の範囲、時間の申告 |
| 起業・自営 | なし | 対象外 | 競業、名誉・信用 |
| 顧問・理事・監事など | なし | 対象外 | 秘密保持、競業 |
管理モデルは「上限を先に決める」方法
- 先に契約した会社Aの法定外労働時間
- 後から契約した会社Bの労働時間(所定労働時間と所定外労働時間)
注意
ガイドラインは、管理モデルは一般に、会社Aが労働者に管理モデルでの副業を求め、労働者と、労働者を通じて副業先Bがこれに応じる形で導入されることを想定しています。あなたから求めても採用されるとは限りません。
副業の不許可は違法?トラブル別の初動と相談先
2つの裁判例
| 事件 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| マンナ運輸事件(京都地判平24・7・13) | トラック運転手の兼業申請が4度不許可とされた事案。判決は、休息が6時間を切る場合に兼業を認めない基準の合理性は認めた。一方で、業務への支障を判断せず休日であることを理由に不許可とした対応を、兼業を不当かつ執拗に妨げるものとして30万円の賠償を命じた(出典:労働新聞社 労働判例の公開要旨、2026年9月28日確認) | 支障を検討しない不許可は違法とされうる |
| 小川建設事件(東京地決昭57・11・19) | 無断で、勤務時間外に毎日6時間、深夜に及ぶキャバレーの会計係などとして働いた従業員の普通解雇を有効とした(出典:全基連 労働基準判例検索、2026年9月28日確認) | 無断・長時間で本業に支障のおそれがあれば処分が認められうる |
初動の順番
- 不許可・署名の強要・懲戒の示唆を受けたら、理由を書面(メール可)で求める
- 理由が①〜④のどれに当たるか、本業に実害(遅刻・事故・秘密の漏えいなど)があるかを整理する
- 社内で解決しなければ、総合労働相談コーナー(無料・予約不要)へ
- 懲戒・解雇が問題になっているなら、弁護士への相談も早めに検討する
| 相談先 | 費用 | 向いている場面(本記事の整理) |
|---|---|---|
| 総合労働相談コーナー | 無料 | まず何ができるか知りたい |
| 労働局長の助言・指導 | 無料 | 話し合いが進まない |
| 紛争調整委員会のあっせん | 無料 | 間に入って話し合ってほしい |
| 弁護士 | 事務所ごとに異なる | 懲戒・解雇が争点 |
注意
懲戒や退職をほのめかされても、その場で署名や退職届の提出に応じず、書面をもらってから相談することをおすすめします(本記事の提案です)。
副業の労働時間通算の改正はいまどうなっている?
やってはいけないNG対応
- 読まずに署名する:広すぎる競業避止や、いつでも取り消せる条項を受け入れてしまうおそれがあります。
- 届け出ずに始める:小川建設事件では、無断で長時間の兼業をした従業員の解雇が有効とされました。
- 口約束だけで済ませる:「上司はいいと言った」は、あとで証明しにくくなります。
- 上限超過を隠す:ガイドラインは、申告などで就業時間を把握し、長時間にならないよう配慮することが望ましいとしています。申告がないと、会社はその配慮ができません。
- 会社の内情をSNSに書く:秘密保持や名誉・信用の条項に触れるおそれがあります。
まとめ:署名前に確かめる順番
よくある質問
副業の合意書への署名は断れる?
フリーランスの副業でも合意書は必要?
管理モデルだと毎日の時間報告は必要?
最終確認日:2026年9月28日




