まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
- 別表2:借主がどこまで負担するかの一覧(p.22〜24)
- 別表3:契約書に付ける条件の様式(p.25〜27)
- 別表4:退去時の精算明細の様式(p.28〜29)
補足
ガイドラインに法的な拘束力はありません。ただし、通常損耗と経年変化を借主の原状回復義務に含めない考え方は、2020年4月1日施行の民法621条に書かれています。
結論:負担割合表は別表2、請求書と照らすのは別表4
| 別表 | 正式名 | 掲載ページ | 使う場面 |
|---|---|---|---|
| 別表1 | 損耗・毀損の事例区分(部位別)一覧表 | p.17〜 | 傷が貸主負担か借主負担かを分ける |
| 別表2 | 賃借人の原状回復義務等負担一覧表 | p.22〜24 | 負担の範囲と経過年数の扱いを決める |
| 別表3 | 契約書に添付する原状回復の条件に関する様式(例) | p.25〜 | 契約時の条件・目安単価・特約を確かめる |
| 別表4 | 原状回復の精算明細等に関する様式(例) | p.28〜 | 退去時の請求の内訳を確かめる |
なぜ列で読むのか:検索上位3件に載っていなかった項目
| 確認した記事 | 載っていた内容 | 載っていなかった項目 |
|---|---|---|
| 原状回復業者のブログ(initialagency.co.jp) | 負担区分の早わかり表、部位別の耐用年数。色合わせ・模様合わせの追加費用を「グレードアップ」として貸主負担と説明 | 工事単位と負担単位の列、図4の出発点、別表3・別表4 |
| 原状回復業者のブログ(rv21.jp) | 負担割合表の読み方として、耐用年数と経過年数ごとの負担割合の目安表 | 工事単位と負担単位の列、色合わせ、図4の出発点、別表3・別表4 |
| 内装工事業者のブログ(bc-kouji.com) | 設備ごとの耐用年数と負担割合の計算式、特約の確認、相談窓口 | 工事単位と負担単位の列、色合わせ、図4の出発点、別表3・別表4 |
- 別表2の4つの列と、工事単位と負担単位のズレ
- 入居時に新品でなかった設備の出発点(図4)
- 契約書に付く別表3の目安単価・特約の欄
- 別表4の列を使った請求書の確認手順
別表2の4つの列は何を意味する?
- 賃借人の原状回復義務:故意・過失や善管注意義務違反などで傷めた部分を直すこと
- 工事施工単位(実体):実際に工事をするときの最小の単位
- 賃借人の負担単位等:そのうち、借主が費用を負担する範囲
- 経過年数の考慮等:年数に応じて負担割合を減らすかどうか
工事の単位と借主の負担単位がずれる部位
| 部位 | 工事施工単位(実体) | 賃借人の負担単位 | 経過年数 |
|---|---|---|---|
| 畳 | 最低1枚。色合わせなら居室の畳数分 | 原則1枚。複数枚ならその枚数 | 畳表は考慮しない。畳床は6年 |
| カーペット・クッションフロア | 1部屋単位 | 複数箇所なら居室全体 | 6年 |
| フローリング | 最低㎡単位 | 原則㎡単位。複数箇所なら居室全体 | 部分補修は考慮しない。全体張替えは建物の耐用年数 |
| クロス | 最低㎡単位。色・模様あわせなら当該面または居室全体 | ㎡単位が望ましいが、傷を含む一面分まではやむをえない | 6年 |
| タバコのヤニ・臭い | クリーニングまたは張替え | 居室全体が変色・臭い付着した場合のみ居室全体 | 6年(クロス) |
| 襖 | 最低1枚。色・模様あわせなら居室全体の枚数 | 1枚単位 | 襖紙は考慮しない |
| 柱 | 最低1本 | 1本単位 | 原則考慮しない |
| 設備機器 | 部分的補修、交換 | 補修部分、交換相当費用 | 耐用年数で1円まで |
| 鍵 | 紛失時はシリンダー交換 | シリンダー交換 | 考慮しない |
| クリーニング | 部位ごとまたは全体 | 部位ごとまたは住戸全体(通常の清掃をしていない場合) | 考慮しない |
- 畳1枚を焦がしたのに、色合わせで6枚分を請求されている
- クロス1か所の傷で、居室4面分を請求されている
- 襖1枚の破れで、居室の全枚数を請求されている
注意
「一面分まではやむをえない」は、借主が払う範囲の上限の目安です。必ず一面分を払う、という意味ではありません。
入居時に新品でなかった設備は、出発点を下げる
- 契約当事者が確認のうえ、予め協議して決めるのが適当
- 入居直前に設備を交換した場合は、価値100%が出発点
- そうでない場合は、建築後の経過年数や個々の損耗を考えて、1円を下限に決める
| 入居時の出発点 | 1年 | 2年 | 3年 | 4年 |
|---|---|---|---|---|
| 100%(入居直前に張替え) | 83.3% | 66.7% | 50.0% | 33.3% |
| 75%(仮定) | 58.3% | 41.7% | 25.0% | 8.3% |
| 50%(仮定) | 33.3% | 16.7% | 1円 | 1円 |
※出発点から毎年1/6(約16.7ポイント)ずつ直線で下げた当記事の計算です。ガイドラインは「直線(または曲線)」としています。
契約書に別表3は付いている?目安単価と特約の欄
- Ⅰ-1 修繕分担表:貸主負担・借主負担になる例
- Ⅰ-2 賃借人の負担単位:別表2の負担単位と年数
- Ⅰ-3 原状回復工事施工目安単価:単位と単価を書く欄
- 目安単価の欄に数字が入っているか。入っていれば、請求の単価と比べる
- 請求に、Ⅱの特約欄にない費用が含まれていないか
- 特約欄に、負担する理由が書かれているか
精算明細を別表4の列で確認する手順
- 各行を別表4の列に書き写し、空欄のまま残った列をメモする
- 「修繕の内容」が洗浄か張替えかを確認する。張替えなら、別表2の負担単位に収まっているかを見る
- 「単位」と「量」が、工事の単位ではなく負担の単位になっているかを確かめる(前の表を参照)
- 「経過年数」と「割合(%)」の列が空いていれば、何年で何%として計算したのかを尋ねる
- 契約書に別表3があれば、単価を目安単価と、特約をⅡの欄と照らし合わせる
- 空欄と質問を1つの書面にまとめて管理会社に送り、控えを残す
よくある質問
Q. 別表2に載っていない設備の負担割合は?
Q. 畳の「表替え」と「裏返し」、どちらで請求されるのが正しい?
Q. 色合わせのために、傷のない部分まで張り替えると言われました。
Q. 契約書に別表3のような書面がありません。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は、消費生活センター(188)や弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。
- 国土交通省『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)』2011年8月:目次、第1章p.12〜13(図4)、別表2 p.22〜24、別表3 p.25〜27、別表4 p.28〜29、標準契約書 別表第5 https://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf
- e-Gov法令検索『民法』第621条(2020年4月1日施行) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 国民生活センター『賃貸住宅の原状回復トラブル』(2026年7月31日更新、件数は2026年5月31日現在) https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/chintai.html
- 東京都住宅政策本部『賃貸住宅紛争防止条例』 https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/fudosan/tintai/310-0
- 競合確認:https://www.initialagency.co.jp/restoration/blog/mlit-guideline/ 、https://rv21.jp/blog/6309 、https://bc-kouji.com/blog/20250624-28/
最終確認日:2026年10月9日




