まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
- 1人が不動産を取得し、ほかの人に代償金を払う
- 一部の財産だけを先に分ける
- 協議の前に、預金を仮払いで引き出した
- 未成年者などの分を代理人が署名する
注意
この記事は一般的な情報です。個別の判断は、法務局・税務署・司法書士・税理士・弁護士に確認してください。
結論:ひな形に「後から効く条項」を足して作る
| こんな状況なら | 協議書に書き足すこと | 根拠 |
|---|---|---|
| 不動産を取得した人が、ほかの人にお金を払う | 代償金の額、支払期限、支払方法、額を時価をもとに決めたか | 国税庁 No.4173 |
| 一部の財産だけを先に分ける | 「一部の分割である」こと、残りは後で協議すること | 民法907条 |
| 協議の前に預金を仮払いで引き出した | 引き出した人・金融機関・金額 | 民法909条の2 |
| 未成年者・認知症の人・行方不明の人がいる | 代理人の資格と氏名 | 法務局Q&A、裁判所の手続案内 |
| 後から財産が見つかるかもしれない | 後日見つかった財産を誰が取得するか | 法律上の必須事項ではないが、再協議を減らすために入れる |
代償金を払う分け方:額・期限・決め方まで書く
- 払う人: 取得した財産の価額 - 代償財産の価額
- 受け取る人: 取得した財産の価額 + 代償財産の価額
時価をもとに額を決めたら、そのことも書く
| 計算方法 | 甲の課税価格 | 乙の課税価格 |
|---|---|---|
| 原則 | 4,000万円-2,000万円=2,000万円 | 2,000万円 |
| 時価をもとにした計算 | 4,000万円-2,000万円×0.8=2,400万円 | 2,000万円×0.8=1,600万円 |
代償金の条項の例
一部の財産だけ先に分けるときの書き方
一部分割の協議書に書くこと
- この協議書が遺産の一部の分割であること
- 分ける財産と、取得する人
- 残りの財産は、あらためて協議すること
- 今回の取得を、残りを分けるときに考慮するかどうか
相続税の申告期限に、残りが決まっていないとき
注意
申告が必要かどうかや、未分割の財産の配分の計算は、税務署か税理士に確認してください。
協議の前に預金を仮払いで引き出したとき
| 例 | 計算 | 払い戻せる額 |
|---|---|---|
| 残高600万円・法定相続分1/2 | 600万円×1/3×1/2=100万円 | 100万円 |
| 残高1,200万円・法定相続分1/2 | 1,200万円×1/3×1/2=200万円 | 上限の150万円 |
引き出した分の書き方
代理人が署名するときの書き方
- 費用: 子1人につき収入印紙800円と、家庭裁判所が指定する郵便切手
- 添付書類: 未成年者と親権者の戸籍謄本、候補者の住民票、利益相反に関する資料(遺産分割協議書案など)
| 状況 | 署名欄の書き方の例 | 手続き・用意するもの |
|---|---|---|
| 未成年者(親も相続人で利益相反) | 相続人○○ 特別代理人△△ | 特別代理人の選任(裁判所) |
| 未成年者(親は相続人でない) | 相続人○○ 法定代理人 親権者△△ | 親権者が協議に参加(法務局Q&A Q87) |
| 認知症などで判断能力が不十分な人 | 相続人○○ 成年後見人△△ | 成年後見人の選任の申立て(法務局Q&A Q16) |
| 行方不明の人 | 不在者○○ 不在者財産管理人△△ | 管理人の選任と、遺産分割についての権限外行為の許可(裁判所) |
| 相続放棄をした人 | 協議に加わらない | 相続放棄申述受理証明書などで相続人でないことを示す(法務局Q&A Q61) |
補足
代理人の資格を示す書類(審判書や登記事項証明書など)の種類は、提出先によって違うことがあります。法務局や金融機関に事前に確認しましょう。
印鑑証明書の期限に合わせた提出の順番
| 提出先 | 協議書に添付する印鑑証明書の期限 | 出典 |
|---|---|---|
| 法務局(相続登記) | 有効期限はない | 東京ブロック管内法務局「相続登記ガイドブック Q&A編」Q65・Q88 |
| auじぶん銀行 | 到着時点で作成・発行から6か月以内の原本 | auじぶん銀行 FAQ |
| ほかの金融機関・証券会社 | 機関ごとに違う | 各機関で確認 |
- 協議書を作り、全員が署名・押印する。1通に全員が署名する代わりに、同じ内容の協議書に各自が署名・押印し、全員分をそろえる方法も認められています(同Q&A Q78)
- 印鑑証明書を、提出先の数に合わせてまとめて取る
- 期限のある金融機関・証券会社の手続きを先に済ませる
- 法務局へ相続登記を申請する。協議書と印鑑証明書は、写しを付けて原本還付を請求すれば返してもらえます(同Q&A Q90)
署名の前に確認するNGと相談先
署名前のチェック
- [ ] 相続人全員が協議に加わっている(相続放棄をした人を除く)
- [ ] 本人以外が無断で署名・押印していない
- [ ] 代償金に、額・期限・支払方法が書いてある
- [ ] 一部分割なら、そのことと残りの扱いが書いてある
- [ ] 仮払いで引き出した預金が書いてある
- [ ] 代理人の資格と氏名が、選任の書類と一致している
- [ ] 後日見つかった財産の扱いが書いてある
- [ ] 日付が、実際に協議した日になっている
- [ ] 複数ページなら契印をしてある(差し替えを防ぐための実務上の扱い)
困りごと別の相談先
| 困りごと | 主な相談先 |
|---|---|
| 相続登記の書き方・添付書類 | 法務局の登記手続案内、司法書士 |
| 代償金や未分割の申告など、税金の計算 | 税務署、税理士 |
| 特別代理人・成年後見人・不在者財産管理人の選任 | 家庭裁判所の家事手続案内 |
| 話し合いがまとまらない | 弁護士、家庭裁判所 |
| 相談費用が心配 | 法テラス(日本司法支援センター) |
- 国税庁 タックスアンサーNo.4173「代償分割が行われた場合の相続税の課税価格の計算」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4173.htm
- 国税庁 タックスアンサーNo.4205「相続税の申告と納税」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
- 国税庁 タックスアンサーNo.4208「相続財産が分割されていないときの申告」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4208.htm
- 国税庁「相続財産が分割されていないときの申告(Q&A)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4208_qa.htm
- 法務省「遺産分割前の預貯金の払戻し制度」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00222.html
- e-Gov法令検索 民法(907条、909条の2) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 裁判所 参考条文(改正後の民法907条) https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file4/H310121-11sankoujoubunn.pdf
- 裁判所「特別代理人選任(親権者とその子との利益相反の場合)」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_11/index.html
- 裁判所「不在者財産管理人の権限外行為許可」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_25_10/index.html
- 東京ブロック管内法務局・地方法務局「相続登記ガイドブック 相続登記の手続について(詳細編)Q&A編」 https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/content/001396090.pdf
- 法務省「相続登記の申請義務化について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
- auじぶん銀行 FAQ(相続手続に使う印鑑登録証明書の発行時期) https://help.jibunbank.co.jp/faq_detail.html?id=1991
- 国税不服審判所 平成17年12月15日裁決 https://www.kfs.go.jp/service/JP/70/17/index.html
※最終確認日:2026年10月5日。法令や運用は変わることがあります。最新の情報は各公的機関の発表で確認してください。




